託明寺前住さまの思い出/茶道教室報告「名残(なごり)の月」
[写真:茶花 ランタナ・ホトトギス・ヤブランなど]
第二第四土曜に開催している茶道教室はコロナの状況を見てお休みにしていましたが、先週から再開しました。
お茶の植田先生が
「茶道では10月はなごりの月です」
と教えてくださいました。
茶道以外でも、秋というのは何かと名残惜しい季節ですね。
お稽古の前に
「ああ、そういえば…」
と思い出したのは抹香のことでした。
電熱の風炉には、お香を入れる小窓がついていますので
「折角なので抹香を入れてみましょうか」
と提案し、お香を焚いてみました。
このお香は、一念寺副住職が大変お世話になった池田の託明寺の前住職さまがご往生されたときに頂いたものです。
[写真:風炉でのお点前は10月まで]
私(副住職)は龍谷大学で仏教と出あい、お寺との付き合いがないまま、ただただ目的もなく勉強だけしていたのですが、そんな変わり者の私を見かねた師匠が寺院名簿をめくり
「ここのお寺は真面目なお寺だよ」
と紹介してくださったのが託明寺でした。
そこから、何処の馬の骨ともわからない私のようなものを温かく迎え入れてくださって、私の僧侶としての人生がスタートしたのです。
香炉に香をセットすると、すぐにいい香りが部屋全体に広がりました。
きっと、部屋にいたみんなが幸せな気分になれたと思います。
[写真:託明寺本堂で長男坊と]
日曜礼拝の法話や、前住様のガリ板刷りのような手書き文字での講座のプリントを思い出します。
娑婆のお勤めを終えられてもなお、私に称名させるはたらきとってくださった前住様は、私に称名を残してくださったのだから「名残というか、名残しやなあ」としみじみと思い、お念仏もうさせていただきました。
私もいつか前住様のようなお坊さんに成れればいいのですが、生きている間にはどうも無理そうな気がします…
返し切れない恩をいただきましたので、これからはお念仏相続のお手伝いで精一杯受けたご恩を送らせていただきます。
南無阿弥陀仏
【一念寺茶道教室】