高槻一念寺

高槻市下田部町のお寺 (浄土真宗本願寺派)です

掲示法語・配布法話 恩を知り 供える花の 美しさ



掲示板の法語の解説法話です☘️
寺報は門前に設置していますので、お近くの方は手に取ってみてくださいね
【掲示法語】
恩を知り 供える花の 美しさ

 芸人のジミー大西さんは小学三年の時に初恋をしました。ジミーさんは誰とも全く口をきかない少年でしたが、唯一話せるのがクラスの人気者のマキさんでした。
 ジミーさんはみんなの輪に入ることができませんでした。唯一輪に入れたのが花いちもんめでした。終わりはいつもジミーさんが一人で「花いちもんめ、マキさんがほしい」と言い「花いちもんめ、大西君はいらない」と言われて終わりでした。
 ある日、ジミーさんが国語のノートを見ると、「花いちもんめ、大西君がほしい」とマキさんが書いてくれていました。
 ジミーさんは、マキさんのことが好きでたまらず、マキさんのそばから離れませんでした。遠足の時も、朝礼の時も。給食の時は他の子から「女の子どうしで食べたいから、向こうに行ってよ」と言われましたが、離れませんでした。
 そして、夏休みに入りました。休み中もマキさんの家を訪ねましたが、誰もいませんでした。新学期が始まる日、マキさんに会えると、ジミーさんはお母さんの化粧水をつけて学校へ行きました。
 でも、マキさんは学校に来ませんでした。「明日は会える」「明日は会える」と思ったけれど、来ませんでした。
 そして、9月16日の朝、先生が「悲しいお知らせがあります。マキさんは病気でお亡くなりになりました」と言いました。その後、学校からみんなでお葬式に行きました。
 次の日、マキさんの机の上には花がかざってありました。
 ジミーさんは、マキさんが「花いちもんめ、大西君がほしい」と書いてくれたことを思い出し、次の日から、誰よりも早く学校へ行き、花の水を交換しました。花の世話をしてから一度家に帰り、もう一度みんなと登校しました。水を換え、花が枯れたら、山の下の雑草の中から綺麗な花をつけたものを何本か持っていって花瓶に入れました。
 自分が花の世話をしていることを知られるのが恥ずかしく、こわくて、ジミーさんは通学中、みんなに話しかけました。みんなと通学していることを印象付けるためです。そうして、ジミーさんは人と話せるようになりました。
 ある日、クラスの子が「勝手に花がふえてる!」と言いました。先生は「先生がお世話しています」と言いました。
 12月24日、ジミーさんは先生に呼び出されました。「大西君が花のお世話をしてること知ってるのよ」と言われました。先生は続けて「二学期で花をかざるのはやめて席替えをしようと思うの。良い?」とジミーさんに聞きました。ジミーさんは黙って頷きました。
 二学期最後の席替え。マキさんが使っていた机にジミーさんは「偶然、座ることになった」と言います。でも、きっと先生がそうしてくれていたのでしょう。
 お仏壇に、お仏飯やお花をお供えするのは、決まりだからするのでしょうか? それも勿論あるのでしょうが、仏さまのご恩を想いながらお給仕するのが本質であるように思います。想われてきたからこそ、私も想わせていただくのでしょう。
南無阿弥陀仏 保田正信
【聖典のことば・ご讃題】
「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとへに親鸞一人がためなりけり」
(『歎異抄』註釈版853頁)