掲示法語・配布法話 お浄土は 安心できる 私の居場所
1月の掲示法語の解説法話です✨
【掲示法語】
お浄土は 安心できる 私の居場所
【法話】
NFL(アメフトの最高峰リーグ)で活躍した、ウォリック・ダンという選手がいます。
彼は現役時代から引退後にかけて、ひとり親家庭にマイホームをプレゼントするという活動を続けてきました。
実は、この活動の背景には、彼自身の悲しい過去がありました。
彼が高校生の時、警察官として働きながら女手一つで6人の子を育てていた母親が、強盗によって命を奪われたのです。母親の「自分の家を持つ」という夢は叶わなかったのです。
残されたウォリックは、18歳で一家の大黒柱となり、幼い弟や妹たちを育て上げました。やがてプロ選手として成功を収めた時、彼は「母のような親たちに、温かい家を贈りたい」と考えたのです。
彼が贈る家には、家具や食料、生活用品に加え、学習机までもが完璧に揃えられていました。まさに「今日からすぐに、安心して暮らせる状態」になった家の鍵を手渡していったのです。その数は、実に240件以上にものぼります。
身長175センチと、NFL選手としては決して体格に恵まれた方ではないウォリックは、人の何倍もの努力を重ねて成功を掴んだ選手でした。しかし、彼は経済的に苦しむ家庭に対し「あなたたちも努力して家を買いなさい」とは言いませんでした。ただ、「私がすべてを用意したから、ここに住みなさい」と鍵を差し出したのです。
彼は、心休まる場所があることの大切さを、誰よりも知っていたのでしょう。
私はこのエピソードに触れたとき阿弥陀さまのお慈悲を想いました。
阿弥陀さまは、私たちのために「お浄土」という場所を用意してくださった仏さまです。
阿弥陀さまは、煩悩の泥沼でもがき、安らげる場所を持たない私たちの姿を見て深く悲しまれ、「自力では救いの境地に辿り着けない者のために、必ず救われる場所をつくりたい」と決意され、気の遠くなるような長い時間、思索と修行を重ねてお浄土を建立されました。
そして、私たちに「自分の力で煩悩を捨て去りなさい」とは仰らず、「私があなたのために全てを用意したのだから、安心して生まれてきなさい」と呼びかけてくださいます。その声が「南無阿弥陀仏」のお念仏です。
ウォリックから鍵を受け取った親たちが、その瞬間に「私たち家族には居場所があるんだ」という安心を得たように、阿弥陀さまの大きな慈悲に抱かれ、南無阿弥陀仏の声を聞かせていただいた私たちには、すでにお浄土という安心の場所が用意されています。
一念寺住職 保田正信
【聖典のことば】
(27) 安楽仏土の依正は 法蔵願力のなせるなり 天上天下にたぐひなし 大心力を帰命せよ(『浄土和讃』より)