掲示法語・配布法話 南無阿弥陀仏は 特別な「よび声」
5月の掲示法語の解説法話です✨
【掲示法語】
南無阿弥陀仏は
特別な「よび声」
【法話】
詳しいことは何もわからなくても、聞いたままお救いいただけるのが、お念仏のありがたさです。
しかし、南無阿弥陀仏がどのような「いわれ」で私に届いてきたのかを聞き知ることができれば、より一層、温かく、ありがたくお念仏をよろこぶことができます。
ロンドンのエンバンクメント駅のホームには、毎日「足元にご注意ください」というアナウンスが響いています。
多くの人はそのアナウンスを気にも留めずに聞いています。
マーガレット・マコラムさんという女性は毎日のようにその駅を訪れては、ホームのベンチに座ります。彼女は電車には乗りません。ただ、その「足元にご注意ください」というアナウンスを聞くためだけに駅を訪れるのです。
実はそのアナウンスの声は、彼女の亡き夫、オズワルドさんの声なのです。彼が生前に録音した音声が使われ続けていたのです。マーガレットさんにとって、それは単なるアナウンスではなく、愛する夫の「特別な声」です。
ところが2012年のある日、突然その声はデジタル音声に切り替えられて消えてしまいました。彼女は大きなショックを受けました。
事情を知らなかった地下鉄当局は、当初「ただの音源の更新」だと考えていました。しかし、彼女からその深い思いを聞き知った幹部たちは胸を打たれ、再びオズワルドさんの声を復活させる異例の決定を下しました。
その日から、事情を知る人々にとって、その駅に流れるアナウンスは単なる声ではなくなりました。一人の女性を支え続けてきた「特別な声」だと、その声の「いわれ」が共有されたからです。
事情を知らない人にとって、南無阿弥陀仏は単なる六文字の言葉に過ぎないかもしれません。しかし、阿弥陀仏が「あなたを一人にはさせない、必ず救う」と誓い、仕上げ、私の元へ届けてくださったのが「南無阿弥陀仏」なのだと聞かせていただいたとき、南無阿弥陀仏は、もはや単なる言葉ではなくなります。
仏様の切なる願いが満ち満ちた「特別なよび声」として、私の身心に満ちてくださっていると知らされ、ありがたく、温かく私に響いてくるのです。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
一念寺住職 保田正信
【聖典のことば】それ、南無阿弥陀仏と申す文字は、その数わづかに六字なれば、さのみ功能のあるべきともおぼえざるに、この六字の名号のうちには無上甚深の功徳利益の広大なること、さらにそのきはまりなきものなり。
(『御文章』5帖13通)